「たまたま」出演者、山中志歩さんにインタビュー!

市民スタッフFです。
ざくざくと日々演者さんのインタビューが公開されておりますが(今回、総勢16名の役者さんが出演されます!)、今回は“主人公の女の子”という重要な役どころを担う、山中志歩さんにお話を伺いました。

 

f:id:tamatamatama2017:20170801214412j:plain山中志歩  1993年生まれ。三重県出身。無隣館3期俳優部に所属している。主な出演作品は、劇団子供鉅人「モータプール」、ミエユース演劇ラボ「マチマチのオムニバス」構成・演出 岩井秀人さん、ネオンホールプロデュース「四色定理のセブンス・コード」作・演出 柴幸男さん、五反田団「新年工場見学会2017」、北九州芸術劇場プロデュース「しなやか見渡す穴は森は雨」作・演出 ノゾエ征爾さん、等の多数の作品に出演。

 

 

多摩ニュータウンに来る前のイメージと、実際に街を歩いてみて感じた違いなどありましたか?

 

多摩川って、埼玉とかに流れている河だと思ってました(笑)

 

ー埼玉!?なぜ??(笑)

 

春日部とかの方だと思ってたんです。なぜか(笑) 
多摩ってすごい遠い所だと思っていたんですが、意外と近いんだ、という印象です。
多摩センターにはオーディションで初めて来ました。

 

ー多摩の街の印象はどうですか?

 

多摩ニュータウンの街づくりの過程の話を聞いて、私の出身は三重県の田舎の方なんですが、「そういう作り方やだな」って思ってたんですけど、最近は、多摩にも人がいて、三重にも人がいて、「何も変わらないんだな」って。みんなが一生懸命生きてるだけだ、って思うようになりました。多摩センター駅周辺の通りの、レンガの道を作る作業をしてる写真があって、それを見てそう思いました。

 

ー山中さんの中では特殊な街、という風には映らなかったんですね。
山中さんは三重県ご出身ですが、ご自身が生まれ育った故郷についてはどう思われますか?

 

もうほんとに、引くほど田舎で。田んぼしかない。田んぼと空、みたいな。(建物が)何もないので数百メートル先の景色も見えるんです。
先祖代々住んでいて、周りの人は親戚の人ばかりで、みんな「山中」っていう姓で。

 

ーそういうコミュニティの中で生きていくのはどうでしたか?

 

私は18歳まで三重にいたんですが、自分は子供だったので、あんまりわかっていなかったですね。村八分とかあったかもしれませんが。自分の中では、それが自然な環境でした。
あとは、「文化がない」。

 

ーああ、文化が。

 

映画も演劇も知らないし、知っているのはテレビの中の情報しかない、という感じで。両親とも三重県の人で、親からも文化的なものは受け継いできていないですね。

 

ーたしかに、“文化的資本”って親や周りの環境から得られる部分が大きいですもんね。

 

子供の頃に劇団四季とか連れて行ってもらわなかったです。

 

ーそんな中で、なぜ山中さんは演劇をやるようになったんでしょうか。

 

高校演劇から初めて、高校2年生のときに、NODA・MAPの「南へ」っていう作品を観に行ったんです。高校演劇で野田秀樹さんの台本を演っていたので、野田さんの本物の舞台を観たくて。で、観に行った次の日が東日本大震災で。ギリギリ観られたんです。

 

ーすごいタイミングで観ることができたんですね。
そのNODA・MAPを観たことがきっかけで、演劇の道を選ぶことを決められたのでしょうか。

 

そうですね。アンサンブルの方がいっぱい出てくるんですが、私は高校で目立つ存在でもなかったし、どっちかというハブられてるみたいな感じだったんですが、NODA・MAPのアンサンブルの方たちを観て、「あ、色んな人がいる。すごい!」、って思ったんです。オーディションに3回落ちましたが(笑)。

 

ーその3回オーディションを受ける心意気が素晴らしいと思います!
では、「たまたま」の舞台についてお聞かせください。
ご自身の役どころを教えてもらえますか?

 

私が演じるのは、多摩ニュータウンに生まれ育った小学一年生の女の子の役です。
今聞かれて、役のことあんまり考えてないな、って思いました(笑)。かっこつけてるわけじゃないんですが、「自分」って感じです。自分そのままで演っている感じがあります。

 

ーそうなんですね。だから「考えてない」んですね。

 

そうですね。(共演する役者の)みなさんがいろんなことをやってくださるので、それを(役と)一緒になって驚く、っていう感じです。

 

ー受ける側、という感じでしょうか。

 

そうですね。それが新鮮でたのしいですね。

 

ーでは、最後に観に来てくださるお客様へメッセージをお願いします。

 

多摩じゃなくてもいい、多摩に限定しなくてもいい、と思っていて。街が生きていく、人も生きていく。それがたまたま「多摩」だった、というお芝居だと思います。人が街を作っている、その「街づくり」の部分が面白いと思います。街と人が一緒に成長していく姿が。 ……ご期待ください!(笑)

 

ー期待しています!ありがとうございました!

 

 

写真を撮るときに、山中さんがちょうど髪を結び直そうとしていて、そのポーズがかわいかったのでそのまま撮らせていただきました(笑)。

稽古場でも何度か拝見させていただきましたが、山中さんが演じられる小学生の女の子、とっても魅力的なんです。ちょっと「千と千尋の神隠し」の千尋を思わせるような、思わず「がんばれ!」って応援したくなるような。
彼女と一緒に、ぜひ多摩のワンダーランドへ迷い込んでみてはいかがでしょうか。
ぜひご期待ください!

 

《公演情報》 多摩ニュータウン×演劇プロジェクト「たまたま」

 8月4日(金) 19時30分開演

 8月5日(土) 14時開演/19時開演

 8月6日(日) 14時開演 ※上演時間:2時間予定 パルテノン多摩 小ホール

 http://www.parthenon.or.jp/act/2996.html

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「たまたま」出演者、前原麻希さんにインタビュー!

こんにちは、市民スタッフTです。

 「たまたま」出演者インタビュー、今回は前原麻希(まえはらまき)さんにお話を伺いました!

 

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 前原麻希 1989年生まれ。東京都出身。2012年より約4年間蜷川幸雄の元で演出助手として活動した後、2017年より本格的に役者を目指す。主な出演作として、NODA・MAP「ザ・キャラクター」蜷川幸雄演出「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~」「青い種子は太陽のなかにある」 劇作家女子会「人間の条件」、七味の一味「家族百景」。映像では、瀬々敬久監督「菊とギロチン -女相撲アナキスト-」 に出演し、2018年に公開が控えている。

 

 ―まず最初に、ワークショップで多摩センターを歩いてお芝居をつくったと思うんですけど、多摩ニュータウンの印象を教えて頂けますか。

 印象…でも本当に知らない町でしたね。同じ東京って言っても私は下町に住んでいるので…。

 ―どのあたりですか?

 江東区の方なんですけど。私が住んでいるところは車が横を走るのが当然っていうか、ちゃんとした歩道がない道も普通にあるのでそれが当たり前だと思ってたんですけど、なんかこれだけ歩道と車道が分離されてるっていうのが余りにも衝撃的で。まずオーディションからだったんですけど、その衝撃が。

 ―オーディションが初めての多摩センターですか?

 初めての多摩センターでした本当に。だから多分これがなかったら行くこともなかったし、サンリオピューロランドがどこにあるかも知らないまま、子供ができなかったら一生来なかったかもしれないし。

唐木田っていうのは千代田線乗っていると「唐木田」って出てくるので、名前だけは知っていても「あー、遠い場所なんだろうな」ぐらいだったんですけど。端っこの駅っていうのに行ったことがなかったので、車両がたまっているとか、誰もいないガラーンとしたきれいな塗装された駅が普通にあるっていう状態がすごく新鮮でしたね。なんか東京のはずなのに、違う国に来たぐらいの。

 唐木田小田急多摩線小田急多摩センターの隣の駅であり、終点。車庫がある。小田急線と千代田線は相互乗り入れをしており、千代田線綾瀬駅から「唐木田行き」という電車が出ている。

 ―そんなに!?

 はい、なんかヨーロッパって建物が違うじゃないですか。それとちょっと似たような印象。レンガ造りで、別に日本人がいるし日本なんですけど、自分が親しみ馴染んできたのと全く違う街並みだったので。ちょっと憧れた部分もありました。

 ―最初の印象が街並みの印象だったと思うんですけど、実際に市民の方とお話をしたり町の中を歩いてみて別の要素が見えたりしましたか?

 あ、でも町を歩いていくとやっぱり日本的な「どっかで見たことあるな」っていう、公園があって普通の道があって道路があって…っていう道になってきたので、奥に行けば行くほど「あ、日本なんだな」っていう感じになって(笑)やっぱり駅はちょっとお化粧されてるっていうかなんかちょっときれいなんだろうなって。

 ―サンリオ感もすごいしみたいな(笑)

 そうですよね(笑)多摩ニュータウンっていう響きを聞いてたまたま多摩センターにきて、「あ、新しい街並みなんだなこれが」っていう印象があったんですけど、お話しした市民の方も東京から来たとか地方からって方もいたので。段々距離は縮まりましたね。

 ―ちょっと歩くとなじみも出たみたいな感じですか?

 そうですね。

 ―じゃあ地元のお話をちょっと聞かせて頂きたいんですけど。多摩ニュータウンの雰囲気とはまた打って変わってっていう感じですか?

 そうですね。なんでしょうその、下町って一言で言ってしまえば下町ですし。ほんと何の変哲もない場所なんですけど…

 ―下町っていうと人情というか、なんか商店街歩きながら「おはよう!今日も元気?」みたいな感じで人のつながりが強いイメージがあってニュータウン出身の私は憧れるんですけど、そういうのあったりしますか?私は小さい頃新しいマンションに引っ越してからご近所づきあいもあまりなかったので…。

 あ、お隣さんは仲いいですね。作りすぎちゃったわとか、いっぱい届いたんだけどとかあったら、うちの母親も渡しに行ったり、そしたらお礼が来たり。で小学校も近くにあるので、子供がいて、いじめてたら「駄目だよ」って言ったりとか。やっぱりあとご近所に絶対一人はいる、うるさいおばちゃんがいるんですけど、その人の事は私大好きで。よく出かけるときに「あ、今日早番?」って。舞台だから早番とかないんだけど「あそうでーす!」とか言って。なんかそういう人が一人いて、「おはよう」とか「あんた元気なの?」とか話しかけてくれるだけでその町の治安が守られてるっていうのをすごい思って、大事だなと思ってますね。

 ―今でも地元に住んでいるということですが、出たいとはそんなに思わないですか?

 そうですね。まあ実家暮らしなので、そろそろ一人暮らしをしなきゃなみたいなことは思うんですけど…。あとまあ全然まだないですけど、結婚とかちょっと考えたりすると、なんかね、みたいな感じになりますよね。

 ―結婚して子育てするとしたら、自分の町がいいですか?

 それこそ本当に多摩センターは車の通りがないことと買い物が便利っていうことで、いやー子育てには良い町だなっていうのをずっと言ってるんですよね。

 ―買い物が便利っていうのはどういう…洋服とか?

 パッと駅見るだけで何でもあるじゃないですか。イトーヨーカドーもあれば、飲食店とかも一通りあるし、なんか不自由なさそうだなっていう気が勝手にしてるんですけど。

 ―確かに子育てには、公園もあるし良い町かもしれないですね。じゃあちょっと今回の公演の話にうつりまして、役どころなどをお伺いできますか。

 どちらかと言えば「今まであった昔の多摩をそのまま守り続けたい」みたいな役どころというか、「平成狸合戦ぽんぽこ」で言うところのタヌキのポジションになるのかなっていう感じで。移り変わっていく時代を受け入れられない人。でも時代には逆らえないし、やっぱ国が決めたことだから、抵抗はするけども流されていて受け入れていくっていう役どころなのかなという風に思ってます。

 ―最後に、観に来て下さる方に一言メッセージをお願いいたします。

 本当に歩けば好きになる町だと思うので、まず公演を観に来るっていう口実で来ていただいて、更に町を感じて頂けたら多摩を知らない方でも好きになって頂けると思います。もちろん多摩に住んでいる方にも観て頂いて、今住んでいる町に対してもっと色々思い描いたり、自分と物語の中の誰かを重ね合わせて色んなことを思い出せるような、そういう瀬戸山さんの思いやこだわりがすごく詰まっているので、是非パルテノン多摩までお越しください!

 ―ありがとうございました!

 

全くなじみのなかった町でも、そこに住む人と話して町の中を歩けば距離が縮まって自分の好きな町になる。この町のことを全然知らなかった前原さんが「多摩を好きになってほしい」と言ってくださったことを嬉しく思うと同時に、このお芝居を機に訪れたかたも同じように思ってくれたら良いなと思いました。

 さて、「たまたま」いよいよ本番が迫ってまいりました…!多摩センター、ピューロランドも温泉も公園もあります。是非、観劇にいらして、どんな町か歩いてみてくださいね!!

 

《公演情報》 多摩ニュータウン×演劇プロジェクト「たまたま」

 8月4日(金) 19時30分開演

 8月5日(土) 14時開演/19時開演

 8月6日(日) 14時開演 ※上演時間:2時間予定 パルテノン多摩 小ホール

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「たまたま」出演者、石田迪子さんインタビュー!

こんにちは。「たまたま」市民スタッフのしおりです。
今回は、「たまたま」にご出演される舞台・映像・ナレーションと様々なジャンルで活躍されている石田迪子さんのインタビューを行いました。

 

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石田迪子
1986年生まれ。東京都青梅市出身。2009年に文学座附属演劇研究所を卒業後、舞台・映像・ナレーションなどで活動。
近年は、単独で朗読ライブも主催する。主な出演作に、ミナモザ『みえない雲』・岸田國士『恋愛恐怖病』
あやめ十八番『ダズリング=デビュタント』・青☆組『時計屋の恋』、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』など。


【石田さん、歩車分離に感動】
―青梅出身ということですが、多摩にはあまり馴染みはないのでしょうか?

 

そうですね…、でも、青梅は「西多摩」と呼ばれることもあるんです。あとは、青梅の奥には「奥多摩駅」があって。そっちには馴染みがあるんですが、「多摩市」となると馴染みはないですね。

 

―では、ほぼ初めてくらいですか?

 

サンリオピューロランドには小っちゃい頃に行ったことがあって。後は、パルテノン多摩の劇場に仕事で数年前に行ったことがあるので、多摩センター駅の周辺の状況は記憶にあるのですが、それくらいですね。

 

多摩ニュータウンの印象はどうですか?

 

まずは緑が豊かだなあっていうのと…、あとは、やっぱり歩車分離に感動しました。
ワークショップの後に一人で歩いたんですけど、あの、私、まんじゅう山を見てなくて(※)…今回のお芝居では、まんじゅう山がキーというか、エピソードとして出てくるんですよ

 

※ 石田さんはワークショップでは唐木田方面へ街歩きをし、唐木田に関するお芝居を作るチームに参加していました。

 

―最初の頃のワークショップで、まんじゅう山でやたら盛り上がっている印象はありました。

 

そうそう。他の出演者さんのまんじゅう山でのエピソードを聞いて、これは一度見たいな、と個人的に行ったときに、
最初、Googleマップに沿って歩いて行ったら車道の方に出て…。
あれ?歩車分離って言いつつ、普通に隣で車が走っているな…、と思いながら、鶴巻東公園のまんじゅう山に行ったんです。それで帰りに、同じルートで戻ろうと思っていたら、向こうに大きい歩道橋が見えて。自転車が走っていたり、小っちゃい子が歩いていたりしたので、(歩道橋を)歩いて行ったら車の通りにもぶつかることなく、多摩センター駅まで行けて。
多分10分くらい歩いたんですけど、車道に出ることなく駅に着いたー!と思って、すごく感動しました。

 

―歩車分離文化に!(笑)

 

そう!すごい!私、今、恩恵が!(笑)恩恵がわかった!って(笑)
私はわりとのほほんと「あー、着いたー、一本道でラクー…」みたいな印象だったのですが、子育てしている出演者さんやワークショップ参加の実際住んでいる方でも「歩車分離」っていうことを言っていて。それがこんなに魅力的なんだなあって思いました。

 

―確かに私も(歩車分離に)気づきませんでした…。

 

ほんとに!それは中々、自分が育った環境にはなかったな、と。歩道橋はあるけど、普通に踏切もあるし、車がブーンって通っているところの端っこを小学生の時も中学生の時も歩いたり、自転車で通っていたりしたので、こんなに…、便利というか、生活している人と車を分けるのがストレスフリーなんだなあって…。


【実際の証言と現在と夢の世界の多重構成で作り上げられていく瀬戸山作品】
―今回の「たまたま」での役どころをお聞かせいただけますか?

 

瀬戸山さんの作品の特徴の一つとして、メインの役はありつつ、いろんな役をとっかえひっかえやる作品が結構あって…。
今回もそんな感じでメイン役もやりながら、他の役もやる、という感じです。
私のメインの役は、あゆみちゃんという小学生のお母さんの役で、大人側の役です。
子供側のみを演じる出演者もいれば、大人側のみを演じる出演者もいれば、子供側と大人側両方を演じる出演者もいます。(私は)子供側ではなく大人側の役目をいただきました。

今回は、「現在」と「夢の世界」と…、あと実際の「証言」を元にしたシーン(「私」っていう役の振り方です。でも、何の「私」であるかは、母であったり、父であったりとそれぞれなんです)と。そういう色々なパートがある多重構成になっています。

 

―以前、ミナモザで瀬戸山さんの作品にも出演されていますが、今回の「たまたま」との違いはありますか?

 

まず、第一前提としてパルテノン多摩の企画として発信していて、多摩ニュータウンという街を題材にするってところが…。
美咲さんの作品だともう少し社会派寄りな部分を描いているのですが、今回は街っていうものを(描いていて)、しかも失われた街でもなく、これから作る街でもなく、今現在住んでいる人がいる現在進行形の街を題材にするっていうところは、いつものミナモザとは違うんじゃないかあって思います。


【自分達の街についての発見ができる作品に】

―それでは最後に「たまたま」を観に来てくださる皆様へのメッセージいただけますか

 

どんどん面白くなる作品だと思います。多摩ニュータウンの「今」だけでなく、「過去」それから「未来」、それを時空を越えて描いている作品だなと。今実際住んでいる人がこの作品を見て「こういう街なんだ」って気づかされることもあるし、多摩ニュータウンを知らない人が「こういう街があるんだ」という良い意味での発見にもなるし…。自分が住んでいる街はどうなんだろう、とか、考えるキッカケにもなると思います。多摩ニュータウンに住んでいる人も住んでいない人も楽しめる作品になんじゃないかなって思います。


一つ一つの言葉を大事に選びながらインタビューの質問に答えてくださった石田さん。
ゆっくりと落ち着いた雰囲気でお話ししていただいたおかげで、こちらもリラックスしてお話を聞くことができ(ありがたい)、とても温かみのある空気が流れた時間になりました。

 

「たまたま」はいよいよ今週から始まります!
「たまたま」を通じて、ご自身の街を、多摩ニュータウンの魅力の発見をしていただけたら幸いです。


《公演情報》 多摩ニュータウン×演劇プロジェクト「たまたま」

8月4日(金) 19時30分開演
8月5日(土) 14時開演/19時開演
8月6日(日) 14時開演 ※上演時間:2時間予定 パルテノン多摩 小ホール

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By 市民スタッフ・しおり

 

「たまたま」出演者、目次立樹さんにインタビュー!

こんにちは、市民スタッフFです。
「たまたま」出演者インタビュー、今回は目次立樹さんです!

f:id:tamatamatama2017:20170801000527j:plain目次立樹
1985年生まれ。島根県出身。劇団ゴジゲン所属。主な出演作は、ゴジゲン『ごきげんさマイポレンド』『劇をしている』、舞台『イヌの日』、結城企画『ブックセンターきけろ』、『トリスタンとイゾルデ』、北九州芸術劇場プロデュース『しなやか見渡す穴は森は雨』などがある。2017年7月にはゴジゲン番外編『なんかすごいSF的なやつ』演出・出演、8月にはto R mansion『にんぎょひめ』脚本を予定している。

 

 

ー多摩の街を実際に歩かれてみて、どんな印象をお持ちになりましたか?

 

僕、小さい頃に団地にすごく憧れていたんです。

 

ーへー!珍しいですね(笑)どうしてですか?

 

団地の子たちって、めちゃくちゃ仲いいんですよ。<団地の子たち>と僕、ってなったときに距離を感じるんです。球技とか、人数がいないとできない遊びになると団地の子たちはすごく上手いんですよ。僕は球技が苦手だったので、なおさら彼らとの距離を感じました。なんか、団地の子たちって“イケてる感じ”がしたんです。

 

ーそのイケてる感じは、多摩ニュータウンからも感じましたか?(笑)

 

きっとこの街に住んでた子たちって、イケてたんだろうな、って思いました(笑)

 

ーほんとにそう思ってます?(笑)

 

みんながみんな団地に住んでる、って感じなんですか?

 

ー私の場合、小学生の頃は団地に住んでいる子がほとんどでしたが、途中で駅近にできた新築のマンションに引っ越していく子とかもいましたね。そういう地域内格差ができつつある頃に子供だったのですが、引っ越していく子がうらやましかったですね(笑)で、多摩の印象についてお聞きしたいのですが……。

 

そうでしたね(笑)。多摩の印象。キレイすぎるような印象はあります。僕は島根県の松江出身で田舎に住んでいて、自然ってもっと雑なはずなんですが、ニュータウンはデザインされた街なので、自然もあるけれどキレイすぎる、という感じです。

 

ー「キレイすぎる」、なるほど。

 

僕は田舎で生れ育って、上京して東京でも暮らしていたんですが、東京の暮らしが少し嫌になってしまって、震災以降思うところもあって、戻ったんです。そういう経験もあって、多摩ニュータウンの景色はちょっとさみしい気がしました。

 

ーさみしい、というのは?

 

ここまで人の手を入れてもいいものか、というか。

 

ーここまで計画的に作られてしまっていいんだろうか?という感じでしょうか。

 

そうですね。なので、そこがちょっとさみしい気がしました。

 

ー私は高校生のとき、違うエリアに住んでいる友達と、その子が住んでいる団地の中を夜中に徘徊したことがあって。

 

なんか青春ですねぇ。

 

ーそうですね。高校2年の夏休みでした。青春の1ページです(笑)。そのときに、団地内がすっごく静かで、ゴーストタウンみたいで、自分たちが大きな模型の中に迷い込んでしまった、っていうような感覚を味わったんですね。そしてさらにその模型を上から俯瞰して視ているような感じもあって。こういう感覚も、ある意味「ここまで計画的に作られていいんだろうか」の、ひとつの例なのかな、って、今目次さんのお話を聞いて思いました。
では、作品についてお聞かせください。
「たまたま」で目次さんが演じられる役柄について教えていただけますか?

 

僕が演じるのは公団側の人間で、「多摩ニュータウン計画を推し進める側」です。 多摩の景観を作る側なので、ある意味僕にかかっているような気がするんですよ(笑)

 

ー重要な役どころですね!

 

そうですね、自分で言うのもアレですが(笑)。多摩ニュータウン推し進めた人間を、僕が悪く描けば、お客さんの目にも悪く映ってしまうので(笑)

 

ーでも、推し進めてくれたおかげで、たくさんの人が住めましたから。自信を持って推し進めてください(笑)

 

そうですよね。いきますよ、僕は!(笑)
全然話変わるんですが、実は僕も多摩にお世話になったことがあるんです。

 

ーえ?どういうことですか??

 

僕、島根から大学受験するときに東京の都心のホテルに滞在して受験したんです。それで、気が狂いそうになって(笑)。ホテルで缶詰めな状態とプレッシャーとで。母親に泣きながら電話したりとかして。

 

ーすごく情緒不安定になってしまったんですね。

 

そうです。で、その当時、2歳上の大学生の姉が永山に住んでいたんです。

 

ーへー!そうだったんですね!

 

なので、姉に電話して、「ホテル暮らしがヤバくて無理なんだ」って連絡したら、「早くこっち来なさい」って言ってくれて。で、永山駅まで行って。ホームに姉が迎えに来てくれたんですが、あまりにも僕が憔悴しきっていて、その姿を見て、姉は涙が出たらしいです。それで姉の家に行って、ようやくホッと安心できて。都心のホテルから多摩の方に来たら、自然も豊かで、姉もいて。また永山の図書館がいいんですよね。勉強に集中できて。

 

ーいいですよね。私も高校生のとき利用していました。

 

おかげで大学もなんとか合格できました。多摩のおかげです(笑)。
大学に入ってからも姉の家にはちょくちょく遊びに行っていて、永山いいなぁ、って思ってました。

 

ーそんなエピソードがあったんですね。なんだか、それだけでひとつの物語ができそうですね!
では、最後に観に来てくださるお客様へのメッセージをお願いします。

 

社会派寄りかと思いきや堅苦しくなく、エンターテイメントとして楽しめる作品なので、いろんな世代に向けて間口はかなり広い作品になっていると思います。多摩在住の方が観たら絶対おもしろいと思いますし、もし観ようか迷っている方がいれば、ぜひ劇場に足を運んでみてください!

 

 

団地に憧れた少年時代、そしてお姉さんとの永山での思い出話を披露してくださった目次さん。ニュータウン計画を推し薦める目次さんの姿に、ぜひご注目ください。

目次さん、ありがとうございました!

 

 

《公演情報》 多摩ニュータウン×演劇プロジェクト「たまたま」

 

 8月4日(金) 19時30分開演

 8月5日(土) 14時開演/19時開演

 8月6日(日) 14時開演 ※上演時間:2時間予定 パルテノン多摩 小ホール

 

http://www.parthenon.or.jp/act/2996.html

 

 

【多摩の魅力を紹介】多摩センターでは何を食べれば良いのか?

初めての街やあまり行かない街へ行くとき、その街ならではの美味しい店を探す…という方は決して少なくないでしょう。私もその一人です。

 

では『たまたま』が上演される街 多摩センターにはどんな美味しい店があるのでしょうか?

 

単純に美味しい店はあるか?と問われれば、いろいろと揃っています。たとえば駅からパルテノン多摩までの途中にあるショッピングセンター「ココリア」の6Fにはレストラン街があり、どの店も評判は良いです。値段は少し高めですが(除 大戸屋)、だいたいどこに入ってもハズレは無いでしょう。ただし元デパートのレストラン街ですから、やはりどこかよそ行きの感じがあり、「多摩センターの店」という雰囲気が希薄なのは否めません。

http://www.cocolia-tamacenter.com/floor/6f.html

 

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そのパルテノン大通りの十字路周辺には他にもいろいろあり、手前の京王プラザホテルにもレストランがあります(こちらも高め)。

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そしてイオンシネマ多摩センターが入っている丘の上パティオとその並びには、サイゼリヤ、ザ・どん、喜多方ラーメン坂内、サブウェイ、海鮮三崎港、マクドナルド、ミスタードーナッツなどが揃っています。見回せばスタバやサンマルクカフェもすぐ目につきます。ただし全てチェーン店です。とりあえず食べるのに困ることは無いし、どれもそれなりに美味しいですが、「多摩センターならでは感」はより一層希薄になります。

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では多摩センターならではの名店は存在しないのか?

そんなことはありません。街の規模からすると少なめですが、あります。たとえばイタリアンのLa Pala、韓国料理の名家(ミョンガ)、蕎麦の佳、ラーメンの西海など、個人経営(?)の店で美味しい店もいろいろ上げられます。

ただし大きな問題があり、それらの店は大抵駅から少し歩くのです。それもパルテノン多摩と正反対の方向が多く、営業時間の問題なども含めると、『たまたま』の観賞と一緒に…という点では推薦しにくい面があります。構造上、駅からパルテノン多摩にかけての地域に個人経営の店は出しにくく、それはこの街の大きな欠点と言えるでしょう。

 

 

 

しかしそれで話が終わってはつまらない。とりあえず一軒、駅のすぐ近くで、芝居を見終えた後、ちょっと飲むのに良い店を紹介させてください。要するに個人的にお気に入りの店ということですが…

 

 

そのお店の名は「串焼きたくま」です。串焼きメインの居酒屋です。ただし料理のクオリティがかなり高いです。

https://tabelog.com/tokyo/A1327/A132702/13127925/

https://www.hotpepper.jp/strJ000781115/

http://takuteku.exblog.jp/17123484/

 

写真が無かったので、本日取材に行ってきました。

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店構えはやたらに庶民的ですが、料理は一切手抜き無しで職人精神が伝わってきます。この値段からすれば、コストパフォーマンスの良さはかなりのものです。食べログではさほど高い点数が付いていませんが、あれは変です。ここはぜひ食べログではなく私の味覚を信用してください。

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この取材日は日曜日。平日は0時過ぎまでやっていますが、日曜は22時ラストオーダー/23時閉店です。横浜での用事を終えて駆けつけたものの、到着したのは21時45分。あれこれゆっくり試す時間がなく、食べ物は最初の注文だけで終わってしまったのが残念です。食べ物も飲み物も種類豊富で、写真で撮した以外にも多くのメニューがあります。あまりパシャパシャ撮していると怪しまれるので、一番基本的なものだけにとどめました。次は「殻ごとたべるうずらの卵」というのが前から気になっているので食べてみたいです。

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お通しは「こくうま豆腐」です。何とお通しなのに料金はかかりません。良心的です。この豆腐は、味をつけるなら醤油ではなく塩で、という注意書きがあります。

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まず1杯目はこの手の店の定点観測で飲むレモンサワー。ただしこの店のレモンサワーはレモンが強すぎてかなり酸っぱいことを忘れていました(あくまでも個人的趣味)。飲み物もいろいろあるので、定番に限らず何でも好きなものを頼むと良いでしょう。

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串焼きが来ました。タン/バラ/ハツです。焼き具合が絶妙です。キャベツは自動的に付いてきます。無料です。唐辛子味噌が美味しいです。これも一種のお通しと考えれば、お通し2品が無料で出てくることになります。

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名物の焼きおにぎり。ただご飯を固めて醤油をつけて焼いただけの食べ物が、なぜか絶妙の美味しさです。この店は、焼き方に気を使うのもさることながら、塩や醤油などの基本的調味料に良いものを使っているようです(ひょっとするとだし醤油かもしれない)。しかも表面だけでなく、おにぎりの中の方にまでしっかりと醤油が染みこんでいます。

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厚揚げ(たれ)が来ました。少し小さいのが残念ですが(この店は値段が安いものは小さいという相関関係が結構明確である意味分かりやすい)、醤油のたれが絶妙です。柔らかくて型崩れしやすいので、二人で食べようとすると汚らしくなるかもしれません。

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2杯目はたくまハイボール。容量小さめですが、チェーン店の水みたいなハイボールとは違う、ドッシリとした味わいとアルコール含有量。しかも200円だから「最後に軽くもう一杯」にピッタリです。

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本日の注文と料金は以下の通り。

 

レモンサワー 420

たくまハイボール 200

タン 180

ハツ 180

バラ 200

焼きおにぎり 200 

厚揚げ 150

計 1530円

 

お通し代も席料もつかない明朗会計です。都心繁華街のせんべろ店(千円でベロベロに酔える安酒場)に比べれば少し高めですが、それでも安いと言える範疇でしょう。懐に優しいです。しかもただ安いだけの店とは明らかに一線を画しています。全ての食べ物に職人の精神が宿っています。

 

難点としては、人気店で混んでいる場合が多いし、席の配置などから見ても、あまり大勢で行く店ではないということ。2~3人がベスト。せいぜい4~5人がよいところでしょう。しかしその程度の少人数で飲み食いする店としては抜群だと思います。

 

 

駅の北口(パル多摩とは逆方向)には、他にも飲食店の入ったビルがズラリと並んでいます。ただし、少し東の方に行くと客引きがうるさいので、この「たくま」が1階に入っている多摩センタービルの方がオススメです。私は入ったことがありませんが、上にある「さかな市場」という店も評判が良いようです。

 

 

なお、飲み屋さんでしたら、駅の脇にある「おちあい横丁」という長屋のようなビルに、いろいろと個性的な店が揃っていますので、そちらも推薦できます。一般的には、「多摩センターで飲む」ということなら、そこに行くのが定番と言えるでしょう。駅のすぐ脇にあります。

https://www.ntc-dev.co.jp/tenant/tenant_05.html

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その目と鼻の先にあるマグレブというビルにも、月の宴などチェーン系の居酒屋が幾つか入っています。席数が多いので、おちあい横丁に入れなかった場合、そこに行けば何とかなります。

http://estate.maghreb.jp/index.html

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また、私自身は入ったことがないのですが、パルテノン多摩の5階にある「ベジフル・キッチン トレーノ・ノッテ」という店が非常に評判が良いです。おちあい横丁にある「横丁ワイン酒場 LIDO」も同じ系列ですから、何気に多摩センターを代表する店の1つなのかもしれません。ここを取材していれば、もっと大々的にご紹介できたかもしれず、残念です。ただしラストオーダーが21時と早いため、夜の回を見た後の食事には利用できません。

なお同じパル多摩の4階に「カフェ トレーノ・ノッテ」というカフェもあります。そちらは時々ライヴスペースにもなり、『たまたま』ワークショップの最終日には斉藤ネコ・カルテットが来ていました。

http://www.treno-notte.com

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そして別の記事でも書いたとおり、5日(土)6日(日)は夏祭で、駅からパル多摩までいろいろな屋台が出ています。単純に開演前の腹ごしらえなら、そこで適当なものを買って食べるのもありでしょう。ただし芝居を見る前にビールなどはあまり飲み過ぎないように…

 

 

 

実のところ、あまり選択肢が無い中で良い店を…と思いつつ書き始めた記事なのですが、こうしてみると、選択肢はむしろ十分過ぎるほどありますね。

 

・特にこだわりなく、そこそこの味と値段で手軽に腹を満たせればいいなら、ファストフードやチェーン店はほとんど揃っている。

・もっと適当に済ませるなら、土日は夏祭の屋台もある。

・少し上質な食事をしたいなら、トレーノ・ノッテかココリアか京王プラザホテルがオススメ。

・酒を飲むのであれば、おちあい横丁やマグレブ、そして「くし焼きたくま」をはじめ駅の北側に並ぶビルなどに、個人経営(多分)の店からチェーン店まで何でもある。

 

この文章を書くことで、多摩センターの外食環境がイマイチだというのは、実は単なる誤解ではないかと気づきました(笑)。要は多くの店が路面店ではなくビルの上にあり、しかもメインストリートであるパルテノン大通りに構造上 飲食店がないため、どうしてもそういうイメージになってしまうようです。

 

 

『たまたま』を見て心を満腹にしたら、ぜひお腹の方も満腹にしてお帰りください!

 

 

市民スタッフのマサトでした。

 

 

 

《公演情報》 多摩ニュータウン×演劇プロジェクト「たまたま」

 

84日(金) 1930分開演

85日(土) 14時開演/19時開演

86日(日) 14時開演

 

上演時間:2時間予定 パルテノン多摩 小ホール

 

http://www.parthenon.or.jp/act/2996.html

 

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「たまたま」出演者、とみやまあゆみさんにインタビュー!

こんにちは、市民スタッフTです。

 

「たまたま」出演者インタビュー、今回はとみやまあゆみさんにお話をお伺いしました!

 

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とみやまあゆみ 1986年生まれ。神奈川県出身。最近の主な出演作は、KAKUTA Sound Play Series「アンコールの夜」(脚本・演出/桑原裕子)、□字ック「荒川、神キラーチューン」(作・演出/山田佳奈)、SPAC「高き彼物」(作/マキノノゾミ 演出/古舘寛治)、TEAM HANDY ACTACTION vol.04『ワンス アポン ア タイム in 京都 Ⅲ~錦小路の素浪人~』(作・演出/鐘下辰男)、テレビ朝日金曜ナイトドラマ「女囚セブン」など。

 

 ―まず最初に、ワークショップで多摩センターの辺りを歩いて作品をつくったと思うんですけども、多摩ニュータウンの印象を教えて頂けますか。

 多摩ニュータウンは大学生のときとか何回か通りすがったことはあって、なんか綺麗な町だなっていうのは思っていたんですけど、まあそんなに「多摩ニュータウンである」っていう意識はなくて。だから周りに人が住んでるイメージもあまりなくて、駅から見えるストリートとそこから派生したエリアっていうぐらいしか印象がなかったんです。でも今回町を歩いて、あんなに緑があって、歩車分離のことも知らなかったですし、なんかすごかったです思ってた町と全然違くて。

※歩車分離:歩道と車道をわけて道が作られていることで、多摩ニュータウンの都市デザインの特徴の一つ。

あと一番へー素敵だなと思ったのは、ちょっと町のことじゃないんですけど、劇場でたまに映画の上映やってますよね?パル多摩で。あれで、たまたま…あ、たまたまっていっちゃった(笑)たまたま最初に行った日に貼られてたポスターが、多摩センターの駅長さんの好きな映画を上映するみたいなもので。それが若い女性の方で、あ、多摩センターって女性の方が駅長さんなんだっていうのにもすごいびっくりしたし、駅長さんの好きな映画を上映するっていう企画もなんか面白いなって。そんなことを最初に行ったときに思いました。

 ―ご自身のご出身は神奈川ということで。

 はい、横浜です。

 ―結構じゃあ都会のほうですか?

 うーん横浜って言葉で言うと確かに都会のイメージですけど、まあ横浜も広いし結構田んぼとか畑もあって、基本的には住宅街だと思いますよ。

 ―そうなんですね、じゃあご実家の周りもそんなにビルとかじゃなくて…

 あ、うちは全然。住宅街です。それこそ横浜なんて坂が多いんで山谷山谷…みたいな感じです。

 ―ご自身の住んでる町と、多摩ニュータウンを比べた時に、「ここが違うな」とか「ここは似てるな」とかっていう点はありますか?

 いや全然違いますよ。やっぱり町って暮らしてると境目とか感じずにシームレスに歩けちゃいますけど、でもやっぱりここをこうしたいっていう思いがあってつくられてるものだと思うんですよね。例えば近所のおじさんが通学路にたって横断歩道見守ろうとか、それって多分なんか願いとか意思があって作られていくものだと思うんです。

だから決定的にここがこう違うってことは、ちょっとどういったらいいかわかんないですけど…でも、芝居でもこれ相当触れてたりしますけど、「歩車分離」なんてもう決定的に違いますよね。あと実家がちょっと山の上にあって駅から坂をのぼってかなきゃいけないんですけど、その斜面に木が生えていて、それが階段を隠しちゃって不審者とかが出るからっていって切られたんですよ全部。もうバッサリと。それは安全性のためってこともあったりするんですけど、多摩センターがどういうふうにしてるのかわからないですが、多分自然とかをできる限りそのまま残そうとしている部分も多いのかなと思って。そんなに不審者も出ないのかなっていう勝手なイメージですけど(笑)

 ―たしかに、この辺りはやっぱり道路が整備されているので、明るかったり、見通しの良い道が多い気がしますね。暗い道があって怖ければ、それを避けて選べる別の明るい道があるような。ではご自身の町で、好きなところはありますか?

 居心地いいですよ。横浜ってくくっちゃうとあれですけど、地元の友達と「やっぱ横浜居心地よすぎて出らんないよね」「離れらんないよね」みたいなことを言ったりはしてましたね。別に、駅の周りだってずっと開発してて綺麗なわけでもないしチェーン店ばっかりですけど、なんか、小っちゃいんですよ町が。

 ―横浜ですか?

 横浜…横浜っていったときは横浜駅周辺のことを話してますけど、もう東側は埋め立て地で海だし。

 ―そうか、海があるんですよね。多摩ニュータウンてそれこそ駅の周りは計算してつくられていても、ちょっと歩くともう自然が広がってたりするんですけど、横浜も町から少しはなれると緑があったりするんですか?

 なんか逆にそこまで全体的に計算されてつくられてないから。多摩ニュータウンでちょっと歩くと自然、っていうのは多分計画してつくってる部分と全くそうじゃない部分のお話だと思うんですけど、横浜はほんとつくるのがビル単位なんですよ、多分。だからここまで線路が伸びることになったとか、駅のホームの位置変えようとかいって、地下街とかもずっと、ほんとずーっと工事してるんですよね。わかんないですけどね、都市計画については。

 ―じゃあちょっと公演の話にうつりまして、今回の役どころについて教えてください。

 基本的に、今回は真ん中の女の子を除いてはみんな1人2役以上やっていて、私一つは小学生の役なんですけど、いつぶりだろう小学生って感じです。

今回は瀬戸山さんがインタビューで実際にお聞きした話を、お聞きしたそのままの言葉を大切に作ってる部分と、聞いたエピソードからイメージを膨らませて様々な要素を詰め込んだファンタジー的な部分とあって、小学生はファンタジーのほうなんですけど、もう一つの役はお聞きしたお話から作るシーンになる予定です。私もどうなっていくのか楽しみに稽古をしています。

 ―ありがとうございます。最後に、観に来て下さる方に一言メッセージをお願いいたします。

 私「クレヨン王国シリーズ」っていう、青い鳥文庫から出ている福永令三さんっていうかたの本が好きなんです。それは自然を介したちょっとファンタジーな世界に、現実の女の子が迷い込んでしまう…みたいなお話が多いんですけど、私は本当にその話が好きで。このお芝居の稽古をしながらよくそのことを思い出してるんですね。懐かしい部分だったり故郷だったりとかっていうものを通してちょっと未来のことに考えが及ぶっていうか、未来のことを考えたくなるようなお芝居になったらいいなって思いながら稽古をしています。実際に多摩ニュータウンに住んでる方だったり、初めてくる方だったり、色んな場所に住んでる色んな年齢のかたに是非来ていただいて、まあ一番は楽しんでいただけたらいいなと思っています。

 ―ありがとうございました!

 

都市計画と単純に言うと事務的な響きがあるけれど、町全体のデザインだったり、ビル一つつくるのにも誰かの思いがあり、さらにそこで形づくられた場所に暮らす人の思いでまた新たな町の光景が生み出されていく。同じ町など一つもなくて、そのどれもが一人ひとりの願いの積み重ねで今の形になっているのだなぁ…と、とみやまさんのお話を伺いながらそんな当たり前のことを改めて感じました。

 さて、様々な出演者の方のお話から少しずつ今回の作品の様子がみえてきました。

ファンタジー!?インタビューでお聞きしたそのままの言葉!?小学生…!?

ますます全貌が気になります…!

「たまたま」本番はもうすぐ。是非是非お見逃しなく!!!

 

《公演情報》 多摩ニュータウン×演劇プロジェクト「たまたま」

 

 8月4日(金) 19時30分開演

 

8月5日(土) 14時開演/19時開演

 

8月6日(日) 14時開演 ※上演時間:2時間予定 パルテノン多摩 小ホール

 

http://www.parthenon.or.jp/act/2996.html

 

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「たまたま」出演者、ワタナベミノリさんにインタビュー!

こんにちは、市民スタッフFです。
「たまたま」出演者インタビュー、今回はワタナベミノリさんにお話を伺いました!

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ワタナベミノリ  1987年生まれ。滋賀県出身。2013年より「野鳩」に所属し、2016年の解散まで全ての公演に出演。その他の主な参加作品。MCR「ミカエル」、キリンバズウカ コルドファン公演「東益平7丁目団地防衛隊」。 

 

 

ーワークショップで多摩センター周辺の街歩きをしてみて、どのように感じられましたか?

イメージと違ったのは、住んでいる人があまり外を出歩いていないことでした。日曜日の午後だったので、朝の通勤・通学の時間だったら違うのかもしれませんが。多摩中央公園周辺はけっこう人出が賑わっていましたが、団地周辺ではあまり住人の方を見かけなかったですね。

ー印象に残った場所はありますか?

多摩中央公園はテントとか張ってピクニックみたいなことができそうで、ファミリー層には過ごしやすそうだな、と思いました。
あと落合の団地の中を見学させてもらったのですが、行き帰りに通った、野菜の直売所みたいな、無人販売をしているところがあって、それがいいな、と思いましたね。

ーでは、ワタナベさんのご自身の生まれ育った街については、どのように思われていますか?

オーディションのときにも同じことを聞かれました(笑)

ーそうなんですね(笑)

私は滋賀県出身なんですが、地元はあまり好きではなくて。そのオーディションのときに、けっこう「地元が好き」っていう人が多くて、意外でびっくりしました。

ーたしかに、インタビューで何人かの方にお聞きしましたが、みなさんけっこう「好き」という好意的な意見が多くて私も意外に感じました。


私が住んでいた町はそこまでド田舎という感じではなくて、住宅街でした。昔は畑とか田んぼとか多かったのですが、私が引っ越してから畑や田んぼをどんどん潰して家を建てて、若い家族が増えていきました。わりと昔から住んでいる人は本音を言わなくて、でも近所付き合いは濃くて。近所の人がどこに勤めているとか、通っている学校はみんな詳しく知っていて。それをちょっと恐怖に感じていました。

ーコミュニティの狭さを窮屈に感じていらっしゃったんですね。東京にはいつ出てこられたのですか?

大学を卒業して、就職を機に、ですね。

ー演劇はいつ頃始められたのでしょうか。

京都の大学に通っていたときに演劇サークルに入っていました。就職して会社を2年くらいで辞めてしまって、その時にやっぱり好きなことをやりたいな、と思って、もう一度演劇の活動を再開しました。

ーそうだったんですね。それでは、「たまたま」の舞台についてお聞かせください。
ご自身の役どころを教えていただけますか?

今回のお話は二つの世界が並行してパラレルで物語が進んでいくのですが、どっちの世界でも主人公と仲良しな子の役です。

稽古のはじめの頃に、わたしが子供の頃に体験したことを話して、役柄にその実体験が採用されました。

あと多摩ニュータウンのご出身でパルテノン多摩のスタッフの白川さんの子どもの頃の可愛らしいエピソードを、瀬戸山さんが気に入られて、お話にところどころ取り入れられています。

 

ー“二つの世界が同時進行していく”、ワクワクしますね!それでは観に来てくださるお客様へメッセージをお願いします。

稽古をやっていて思ったのが、たまたま「多摩ニュータウン」という街の話で、住んでいた、あるいは住んでいる「人」の話だと思いました。私自身は多摩ニュータウンに所縁はないのですが、「人の歴史」として、人の願いや想いが積み重なって街ができたんだな、と感じていただけたらうれしいです。多摩に関係がなくても、舞台を観て「自分の住んでいた街をちょっとでも好きになれたらいいかな」って。

ーそうですよね。まさに私はそんな想いでこの演劇プロジェクトに携わっています(笑)
もう一度故郷を見つめ直して、もっと好きになりたいな、って。
「故郷が好きかどうか」って、その人個人のアイデンティティにすごく密接に関わっていると思うんですよね。自己肯定感にも繋がっているような気もしていて。

ああ、そうですね。“多摩コンプレックス”って多摩出身の方が言っていますが、私は“滋賀コンプレックス”があります(笑)。出身地のいいところを聞かれても、うまく答えられなくて。特産物とかもないし。どこか(いいところを)見つけられるようになったらいいな、って思っています。

ー自分の故郷を誇りに思いたい、という気持ちは、きっと多くの人が抱いている願いのような気もしますよね。ありがとうございました!

 

* 

先日通し稽古を観させていただきましたが、ワタナベさんご自身の実体験が反映されたシーンがどこなのか、想像しながら観るのもたのしそうです。ぜひご注目ください。

ワタナベさん、ありがとうございました!

 

《公演情報》 多摩ニュータウン×演劇プロジェクト「たまたま」

 8月4日(金) 19時30分開演

 8月5日(土) 14時開演/19時開演

 8月6日(日) 14時開演 ※上演時間:2時間予定 パルテノン多摩 小ホール

 http://www.parthenon.or.jp/act/2996.html

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