字幕サポート講習会に参加してきました!

多摩ニュータウン×演劇プロジェクト『たまたま』では、聴覚障害があるお客様向けに字幕サポートを行います(土曜19時と日曜14時の回のみ)。

 

f:id:tamatamatama2017:20170726020257j:plain

 

 

7月25日、仕事を終えた後パル多摩まで駆けつけて、字幕サポート講習会に参加しました。私は仕事の関係で、字幕について一定のスキルがあるため、作成には深く関わることになると思います。しかし聴覚障害があるお客様向けの字幕は、仕事で扱う字幕とはいろいろと違う面もあり、新鮮な印象を受けました。逆に自分の知識やスキルに基づいて、「ここはこうした方が良いのではないか」と提言できる部分もあるように思いました。やはり耳で聞く音声言語と目で見る視覚言語は似て非なるもので、「どうすれば人に伝わりやすいか」の基準が微妙に違います。何よりも「目で見て分かりやすい字幕」の作製を心がけたいと思います。

f:id:tamatamatama2017:20170726020329j:plain

 

 

すでに出来た『たまたま』台本の一部を利用して、実際に字幕を作成し、タブレットスマホに流すところまで、2時間の内にやりました。私もその場で自分のiPhoneに「おと見Live」というアプリをダウンロードしてWi-Fiを合わせたら、すぐに字幕が流れてきたのにはビックリです。世の中は進んでいます。ハイテクって怖い。いや素晴らしい。

appadvice.com

 

ただし、それを当日 役者の演技に合わせてポン出しするのは完全に人力です。しかも普通の台詞劇では、ほとんどの部分に台詞が入ってきますから、ポン出しの量も膨大。その間 集中力を切らすことなく、台詞にきちんと合ったタイミングで字幕を出していくのは、かなりたいへんなことだろうと思います。さすがに一幕ごとに担当者が交替する場合が多いようですが、あれを2時間一人でやったらヘトヘトですね。

f:id:tamatamatama2017:20170726091703j:plain

 

 

それにしても手元のスマホタブレットに字幕が出てきて、字の大きさも好きに変えられるのは本当に便利です。そしてこの技術は聴覚障害者向けだけでなく、外国の劇団の来日公演全般に使えばいいのにと思いました。

私は外国の劇団の来日公演はあまり見ないのですが、最大の理由は字幕環境の劣悪さです。大抵は舞台上の電光掲示板のようなものに出るのですが、これが劇場や座席の場所によってはかなりヒドい時がある。最悪な時は「役者の演技を見るか字幕を見るかの二者択一」になります。評判の良かった野田秀樹の某作品を見たときが、まさにその状態で、心底ウンザリしました。そこまで行かなくても、映画の字幕と比較すれば、多かれ少なかれ「演技を見るか字幕を読むか」の選択になりがちです。高い金を払って芝居を見に行き、字幕を読んで帰ってくる…そういう虚しい思いをするのが嫌で、外国の劇団の来日公演にはついつい腰が重くなるのです。

その点、スマホタブレットに字幕が出るのであれば、それらを自分にとって見やすい位置に置くことで、映画なみとは言わぬまでも、これまでよりずっと楽な形で舞台を見られることになります。話にも出ていたとおり、突然電波が途切れるなどの不安定さがネックですが、その問題さえなければ、こちらの方式の方が多くの人にとって見やすいはず。大きな公立劇場を皮切りに、どんどん普及していって欲しい技術だと思いました。

 

 

一部だけ拝読した『たまたま』の台本は、まず登場人物表に並んだ役名で「はあ!!??(笑)」という感じ。なるほど、インタビューで役者さんたちが「これまでの瀬戸山美咲作品とは違う」と言っていた理由がよく分かりました。これは…宮澤賢治ルイス・キャロルミヒャエル・エンデ?それとも松本零士? これが多摩ニュータウンの話として一体どこに着地するのか? もう実際に自分の目で確認するしかないでしょう。

 

 

そんなわけで『たまたま』は聴覚障害があるお客様向けの字幕サポートを提供しています。「演劇って一度見てみたいけど、どうせ自分が見たところで、台詞が聞こえないからストーリーが分からない…」そんな風に思っている聴覚障害の方が周りにいらっしゃったら、ぜひともこのようなサポートがあることを教えてあげてください!

 

 

 

なお講師はシアターアクセシビリティネットワーク(TA-net)の方でした。こちらの組織は、読んで字のごとく舞台鑑賞のアクセシビリティを高めるための活動を行っているNPO。『たまたま』以外にも、様々な舞台で字幕や音声ガイドをはじめとするアクセシビリティ向上の手助けをしています。ぜひともHPの方をご覧ください。

http://ta-net.org

http://ta-net.org/event/

 

 

市民スタッフのマサトでした。

 

 

【注】「障害」は「障がい」と表記すべきだという意見も強く、私も普段は「障がい」と書くことが多いのですが、今回はTA-netさんのHPで全て「障害」表記になっていたため、それに準じています。

 

 

f:id:tamatamatama2017:20170726020417j:plain

 

 

《公演情報》 多摩ニュータウン×演劇プロジェクト「たまたま」

 

8月4日(金) 19時30分開演 

8月5日(土) 14時開演/19時開演 

8月6日(日) 14時開演 ※上演時間:2時間予定 パルテノン多摩 小ホール 

 

http://www.parthenon.or.jp/act/2996.html

 

 

 

twitter

 

https://twitter.com/tamatama201708